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葛飾北斎の肉筆、版、と私

更新日:2024年3月3日




たまたま、何日か前の新聞に、葛飾北斎の最晩年の龍の"肉筆画″が載っていて、

"そうだ、元々北斎は絵師だった″と思いだした。木版の北斎に対面する事の方が

日頃多いので、そこから"鳥獣戯画″の作品を連想して、銅版画のドライポイントを

デザインっぽくしたところ、イラストのような、漫画のような仕上がりになって、

個人的に、これを干支版画、カジュアル版画と名付けたが、そうだ、古くから

こんな表現方法があったんだ、と。最近は、版画の刷りが上手くいかないことが多くて、

もう、こうなったら、一枚だけ作るための版画でもいいか、しかし、一枚だけなら、

肉筆で良いのではないか、と。

しかし、刷ることで、ちょっと変わった感じの作品になる。

そして、元々は

版画は、たくさんの人達に、"渡す″ために生産されてきて、古くは、文字の読めない

人達に、絵を図解して分かりやすいように伝達するためのもので、特に、宗教や学問の

伝達に使われてきたと言われている。

北斎は人気絵師で、その作品をたくさんの人に"頒布″されるために、刷り師が別に版を

起こして版画として売りだしている。

では、なぜ私は、わざわざ時間のかかる技法で表現しようとしているのか。

銅版画の独特の、良く言われる ″ベルべットのような黒" に魅せられている。

やはり、この黒を出さないと・・・、と思ってしまう。

″上品な感じのする黒"だと思う。

・・・人それぞれの好きな黒色があって、私は、銅版画用の油性のインクの、"銅という

金属に、紙に刷った黒″にこだわりたい、という好みがある。

木版ではなくて、銅版の、凸版ではなく凹版。

逆輸出のようだが、しかし、たくさんは刷れないが、銅版にインクを詰めて、刷る黒、そして、紙にうっすらとのこる油膜の白が美しいと思っている。




 
 
 

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